#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT1)

TEXT1:家族を育みながらも働くことで、社会との関わり合いを保つのがスタンダードな考え方へ既にお馴染みの言葉となった「働き方改革」。日本の人口である“一億”総活躍社会を実現するための改革は、ポジティブなことだけ記載するのであれば、これまで以上に女性が活躍する場をつくるきっかけづくり、といえる。確かに、データを見ると第一子出生後も何らかの形で就業継続している数は増加傾向で、その数、全体の半数を超えている。就業継続でも、出産をきっかけにパートへ切り替える方もいれば、産休を利用しそのまま復職するという方もいたり、それぞれだ。この「地域」でも女性の従業者を意識した企業は多くあるのだろうが、その中で、事業所内保育施設を持つユニーク(独自)な発想の会社がある。それが株式会社ブランシェだ。また、それ以外でも多様な業種へ進出し、それぞれに特色を持たせている。例えば、カフェやイタリアンバルなどの飲食やネイル、ビューティスクール・・・。形だけではなく、ニーズとバックヤードをしっかりと見据えたうえで展開していることがポイントのようだ。この独特な企業文化について、代表取締役福本勝則氏へ取材をした

#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT2)

TEXT2:フューチャーライフデザイン。ヘアデザインをベースにライフスタイルまで広げていくHPを確認すると“デザインセンスのあるヘアサロンのHP”と言える。背景色の白を基調とすることで透明感を出し、それぞれの要素は主張しすぎないようにレイアウトしてある。ただ、よく見ると独特だ。冒頭にある“Staying Sensitive To The Needs Of The Times,We Offer The Best Technologies, The Latest Trends,And Sophisticated Services.(時代のニーズに対して敏感に察知し、最新のテクノロジー、最新のトレンド、洗練されたサービスを提供します)”とある。一見普通のヘアサロンでも言えてしまうコピーだが、ここに実は福本氏の理念が刷り込まれている。更にスクロールすると、前途の通り、アットランダムに同社グループの最新ニュースがある。そこで、多種多様なコンテンツが確認できる。その多種多様なコンテンツの共通点はいうならば、全てセンスが良いということだろう。建物・外観としての形状、存在感、色使い、内装、内観・・・。実はこれらは、ヘアサロンにおいてヘアデザインを手掛けるうえでつくられていくストーリーから派生したコンテンツたちであり、リアルなマーケティングから実現した事業やカタチなのだ。(写真)代表取締役福本勝則氏

#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT3)

TEXT3:「快適空間」というコンセプトは、“マーケティング”力を強くすることになっていく福本氏ご自身がスタイリッシュな方だからだろう、流行っている店は“カッコイイ”し、ヘアサロンを手掛けるきっかけは“カッコイイ”からだという。一時期、カリスマ的なヘアアーティストが誕生し流行したが、そういったアイコンの存在自体その要素の一つだろう。ブランシェのベースをつくったコンセプトは、それよりも広く、その空間自体が快適である「快適空間」をつくることだった。流行っている店とは、人が継続的に利用する店と言い切れる。ビューティ業界における流行っている店とは、カット技術はもちろん、外観・外見デザインもそうなのだが、同社はもっと広く「快適」=トータルコーディネートをすることをベースコンセプトにしたのだ。「快適」。一見簡単に発想できそうなワードだが、CS(顧客満足)いや、福本氏のように関わる人すべての満足度を意識していなければ、このような発想は見いだせないと感じた。一日は誰もが24時間、睡眠時間などで8時間を除くと16時間だ。そのうちの1割以上を占める2時間を、ヘアサロンで過ごす、しかも付きっ切りで、だ。カスタマーにとっては、かけがえのない時間であり、無駄にできない。そのためカット技術のみならず、付加価値へとつなげようと発想したはずだ。ヘアデザインをするだけではなく、ドリンクをサービスする、マッサージをす...

#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT4)

TEXT4:横の連携をカスタマーのみならずスタッフも行うことでつくられる“エンゲージメント”カスタマーとの対話や反応によるリアルマーケティング。その強みを持てるのは、ヘアビューティ業界、いや同社の特色なのかもしれない。女性のカスタマーも多いわけだが、話題の中でグルメはかかせないようだ。そこから実現したのが、飲食で、焼肉店、カフェやイタリアンバルだ。面白いのは、これまでのノウハウが活かされている。外観、外見はもちろん、そもそもカフェやイタリアンバルを選定すること自体もそうだし、焼肉店では、他店よりもゆったりとすわれる席に贅沢な時間を過ごせる設えなど、発想が面白い。飲食業が求める回転率という考え方ではなく、ファンになってもらい常連化する。ヘアサロンからバルを利用、バルからヘアサロンを利用という流れと、そこにスタイリストも配属することでより親しみをもっていただくような仕掛けづくりをしている。そういった関わり合いから“エンゲージメント”をつくり、つなげ、“ライフデザイン”をしていく。そういった“エンゲージメント”を得意とするブランシェは、従業員に対しても寛大だ。ヘアデザインをするスタイリストは常にトレンドに敏感でなければいけないため、技術を常に習得しなければいけない職業だ。そのためには、技術を洗練させるための時間が必要となる。つまり、ヘアビューティ業界から離れられないということになる。全て...

#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT5)

TEXT5:「マルチコンセプチュアルアーティスト」は、地産地消をも意識をしコンテンツ開発を行っている同社は、地産地消を意識した商品づくりも実績がある。コスメを中心に手掛けている。例えば、サボテン。シャンプーやハンドクリームなどで展開しているが、経済産業省・中部経済産業局のお墨付きで「地域産業資源計画計画」認定商品にもなっている。これらの商品はサロンのみならず、WEBでも購入できるわけだが、こういった商品開発も活発に行われている。最近では、シザー(ハサミ)だが、そこには「ドライヴカット(DRYVE CUT)」という技術と、カスタマーにとっては家でも手入れしやすくなるという衝撃的のカット技術のようだ。当然、ヘアデザイナーとシザーの技術によるものだが、カスタマーにわかりやすく伝える、ということも重要視したようで、それがリピートを生むのだが、差別化としてもつなげていくもののようだ。表面的にだけ見ると、同社の展開はとても不思議に思うことが多い。同社はTVでも取り上げられた。「フライパン美容師」というキャッチコピーだったが、取り上げ方がイタリアンバル「トンガリアーノ」とヘアサロンとの関係性だったからだ。同社の魅力はそこにとどまっていない。その魅力や奥深さは「マーケティング」力によるものであり、そのバイタリティあるアーティストたちを、筆者はこのローカルズラウンジを通じて「マルチコンセプチュアルア...

#6:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.2(TEXT1)

TEXT1:「地域」を代表するフランス料理店“シェフ”によるベジタブルスイーツの由来ベジタブルスイーツ―“野菜をつかったスイーツ”を取り扱う店がある。「エルヴェラヴィ」・・・“命を育む”という意味のフランス語である。何故、フランス語を店名に掲げたのか。実は、オーナーである吉川成輝氏がフランス料理のシェフだからだ。吉川氏は、フランス本国の三ツ星レストランで修行をし、名古屋東急ホテル「ロワールフレンチ」のスーシェフを務めた。その後、「シェ本山」のシェフとして招かれている。ご存知の方も多いと思うが、「シェ本山」はこの「地域」では老舗フランス料理店だ。つまり「地域」を代表するフランス料理店のシェフだった吉川氏によるこだわりのベジタブルスイーツということになる。そして、その野菜は主に愛知県産であり、前回クローズアップしたこの「地域」の自然野菜を生産する“土磨自然農園”の野菜を使用しているという。

#6:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.2(TEXT2)

TEXT2:フランス料理のベーシックな考え方から生まれた、新たな“地元の素材を生かしたアプローチ”へ吉川氏は瑞浪市出身で、実家は八百屋だったという。身近に新鮮な野菜や果物に触れることができる恵まれた環境であったことがご自身の基盤をつくったのだろう。世界三大料理と言われるフランス料理には、「キュイジーヌテロワーヌ」という言葉がある。訳すと「大地の料理」で、言わば“地産地消”のことだ。シェフを務めた「シェ本山」でも当然ながら地元の野菜を使用しているのだが、吉川氏がシェフとして務めている際は、更に重きをおいている。そのことを公式HPでも紹介されており、“テロワール(風土)を大事にし、地元の素材・特産をふんだんに用いて、春日井の方はもちろん、遠方からのお客様にも自然の恵みを味わっていただけるフレンチ料理を披露している”、と綴っている。その後、「エルヴェラヴィ」を立ち上げるわけだが、地元の素材を生かしたアプローチを新たに展開することが大きなコンセプトなのだ。そしてそのベースとなる主の野菜が“土磨自然農園”でつくられた西洋野菜だ。元々は吉川氏がフランスから帰国して間もないころに、出会ったのがきっかけだった。この西洋野菜に出会うまでに相当数の野菜を仕入れては試食したが、納得できなかったという。結局WEBをきっかけに、この農園を知り、直接出向くことになる。その時に試食したサトウキビのように甘くて美...

#6:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.2(TEXT3)

TEXT3:「食育」の本当の意味合いとは?地元素材を生かし、野菜の新しい届け方や楽しみ方として選んだスイーツ。それは自然の恵みを生かし、小さなお子さんからご年配の方まで楽しんでいただけることを念頭においている。吉川氏にとって、「食」から生まれる「団らん」や親から子への会話そのものが教育であり、それは難しい話ばかりではなく、毎日の暮らしを通じて知識を積み重ね継承していることが、いわゆる「食育」なのだ、ということを語ってくれた。「食育」として、「食」イベントとして、日本でもここのところ行われているものが、1990年より発足しているフランス発祥の「味覚の1週間」だ。吉川氏は、この「地域」で講師として招かれている。こういった活動は「食育」の推進を目的とした市をサポートする団体が中心に、主に小学生を対象に「給食」を通じて活動を行っている。地産地消や家庭菜園、郷土料理や最近では食品ロスの啓発もしたりする。そのような様々な活動からの経験を活かしてか、独自に奥さんを対象にワークショップも検討している。このワークショップを通じて「食の楽しさ」を各家庭に、そして何よりお子さんへ日常的に伝えていければと考えている。(写真)”エルヴェラヴィ”ショーケース。こだわり野菜からつくられたスイーツたちが並ぶ

#6:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.2(TEXT4)

TEXT4:「健康経営」は「カラダ」への配慮と「食」から成り立つ株式会社aider(エデ)という会社がある。元々は出張専門のフィットネス事業で、企業のオフィス・自治体・フィットネスクラブへの運動指導員 出張サービスを主としていた。「健康」という切り口だが、代表取締役 目黒圭一氏によると、クライアントニーズに応えていったら、医療関連施設への運動指導員の派遣、企業オリジナルラジオ体操、企業健康セミナーへと広がったという。更に「食」というところにも広がり、商品開発事業をてがけることに。その責任者が吉川氏で、オリジナルスイーツを提供していくことになった。昨今、「健康経営」ということが注目されるが、これは将来的に労働人口が減少すると予測される中、人的生産性の向上をしなければいけなくなったためである。企業は従業員に対してこれまで以上に活躍していただくに、従業員への健康配慮を意識した。つまり、企業から従業員へ心身ともに改善する取組を働きかけることで、従業員の健康増進や意識改善を図る。その取組の一環として、こういった目黒氏が手掛けるような「健康」プログラムが用いられる。そして結果的に、企業の生産性の向上につなげる…というわけだ。(写真)焼き菓子も用意している。写真には無いが、夏はかき氷など、野菜をテーマにたくさんのジャンルのスイーツを企画※TEXT2・TEXT3の写真は2019年8月27日筆者が撮...

#6:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.2(TEXT5)

TEXT5:伝統とは日常的なことの積み重ねだ世界三大料理と言われるフランス料理。味や鮮度に対してのこだわりが当然ある。時代や環境が変われば、好みや考え方も変わるのだろうが、伝統とは“しきたり”や“考え方”をそのまま受け継いでいく。そこにギャップを感じることもあるのだろう。その一方で、吉川氏の「食」への気軽さや楽しさが「食育」というコメントは印象的だった。そもそも伝統とは形式ばったことではなく日常的なことの積み重ねであり、ルールやマニュアルではなく、マインドなのだろう。ミックスすることが体によいのかどうか、味はどうか、色はどうか・・など、シンプルなのだ。切磋琢磨していくことで複雑化していくわけだが、ここにも“考え方”さえしっかりしていれば理解しやすい。今回取材をした株式会社aiderは、事業として別々のものが融合したかに感じるが、人の「カラダ」とは「食事」と「運動」によって成り立つものであり、大きな意味での持続可能な目標が叫ばれる世の中であるからこそ、「健康」事業一体としての価値を見出したのだろう。(参考文献)◆エルヴェラヴィhttp://www.elever-la-vie.com/◆外務省(公邸料理人)https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/ryourinin.html◆キュイジーヌ・テロワールhttps://agri.mynavi.jp...

#5:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.1(TEXT1)

TEXT1:食や食材の安心・安全がテーマ。フレッシュでオーガニックな食材を農場から食卓へ・・・ここ数年で、アメリカ西海岸を中心に食の安心・安全への意識が高まっているようだ。特に都市部に居住するミレニアル世代を中心に、興味を持たれている食とは、食材オーガニック「農場から食卓へ―ファーム・トゥ・テーブル―」というフレッシュな方法への注目だという。この「テーブル」という部分には複数の意味がありそうだ。農場が経営するダイニング(レストラン)や地域にあるダイニング、はたまた地域にあるショップを通じて食卓へ・・・というとらえ方でもおかしくない。この「ファーム・トゥ・テーブル」という考え方は、日本でいう「地産地消」に当たる。そしてその特長は、中身が把握できることだ。つまり、その野菜はどこで誰が生産をし、「地域内」であれば配送距離が短いということにも気付く=輸送によるCO2も少しは防ぐことができる(エシカル消費とはこういうことだろう)。更にその先のダイニングやショップのシェフがこだわって創作している料理ということも理解することができる。予想以上の発見があるのだろうし、安心且つ安全である。通常、ダイニングではメニューに“この野菜は、この「地域」にある◆◆ファームによるもの”などと明記され、生産者の写真付きで紹介されたりする。このように、アメリカでは「地域内」あるいは近郊の農場から直接仕入れた新鮮で安...

#5:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.1(TEXT2)

TEXT2:この「地域」で、フレッシュな野菜づくりを実現さて、現実的な話題に戻るが、この「地域」は間違いなく農業都市とは言えない。ただ、自然豊かな場所が多くあることは確かだ。そして、何よりも中京圏のハブとなり得るアクセスの良さが特長だ(アクセスに関しては、#4でも取り上げている)。こういった恵まれた環境を見抜き、オーガニック・・・いや、フレッシュな野菜をつくり、そしてその野菜は、仏料理や伊料理のプロであるシェフの舌をうならせ、納得させているファーマーが存在するので驚きだ。今回のお題目通り、この「地域」内でもファーム・トゥ・テーブルが実現していて、更に食を通じて教育の一環とする「食育」の普及活動を行い、地域貢献をしている方が存在するのだ。それが「土磨自然農園」代表横島龍磨氏で、その農園の名前の通り自然栽培による野菜をつくっている。農薬、肥料を一切使わず、除草剤ですら使用しないというこだわりようで、それはオーガニック(有機野菜)よりも更に厳しい基準である。まさに、オーナー横島氏のストイックな姿勢が見受けられる。その出来栄えが奏功をし、今では食のプロへの野菜提供が主のようだが、当初は個人向けの野菜を宅配などで展開していたという。小さな一歩からスタートした事業だったのだ。しかし半年が過ぎると徐々に、シェフ向けの西洋野菜も取り扱うことになり拡大をしていくことになる。(写真)横島龍磨氏との取材...