#5:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.1(TEXT5)

TEXT5:“mirai kids program”は、「地域」のファーム・トゥ・テーブルだ“mirai kids program”とは、このプログラムに参加をしたお子さん自身で野菜の植え付けを行い、栽培から収穫、販売をする。そのお金で収穫した野菜を使った料理を食べるという、“農業と社会のつながりを経験できるプログラム(土磨自然農園パンフレットより引用)”だという。シェフと連携した本物の食、とも記されているが、「土磨自然農園」を活用し、自分でつくった野菜を販売(=プロの商品として認めてもらう)すること、そしてその野菜をプロが調理して料理として食べること、それは「食」に対しての愛着心と興味をかきたてるだろう。これこそが、ファーム・トゥ・テーブルではないか。「食育」を通じ、自分自身でつくった野菜を地産地消するという優れたプログラムなのだ。土を触れる、自然に触れるだけでもこころを豊かにするはずだが、是非、この「地域」のお子さんに野菜を通じて多くのことを学べるこのプログラムに参加して欲しい。自然の恵みは、自然の厳しさを知るからこそ恵なのではないか。自分でつくるという難しさと楽しさ、育てるという愛着心やそれを販売でみとめてもらうという場面との出会い、そして愛着のある自分の美味しい野菜が一流シェフによる調理で本当の美味しさとして知ることができるというきっかけづくり・・などなど。さて、この優れた...

#5:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.1(TEXT4)

TEXT4:「まち」を変える・・と掲げた企業理念理念の一番に「まち」を変えると掲げていることが、農園、フレッシュな野菜づくりを継承している基盤だと感じた。「土磨自然農園」は、オーガニックではない。それより高い基準である“フレッシュ”を貫き通せる力強さは、「食」が好き、「食」にこだわっている、だけでは成り立たないはずだ。横島氏は、開業してから活動を包み隠さず(ご本人の言葉)SNSメディアなどを通じて綴り、野菜づくりを実行していった。この“包み隠さず”あるいは惜しみなく、という行動こそが、農業のすばらしさに共感を与え、共に農業に従事する人を増やしていったのだろう。こういった、農業あるいは食を通じての活動が、結果的に「まち」も変えるほどの力になるということであろう。また、そういった考え方のもと「自然栽培」でつくられた西洋野菜だからこそプロに認められていったのだ。そして、その自然の恵みを摂取することは、人並みの言い方だが“健康によく”、“健全な考え方”ができる“からだづくり”に反映され、人間形成へつながることになる。 「野菜」を通じて「食」の楽しさを知ってもらうための子ども向けプログラムが「土磨自然農園」にある。自然農園現地には、ログハウスがあるのだが、建設するにあたってはクラウドファンディングを活用し、資金調達をして実現したという。そのログハウスに入ると、シルバーのプレートが輝いているの...

#5:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.1(TEXT3)

TEXT3:これまでのシステムが、本当のニーズに近づけなかったという現実そんな自然農園を営むことになったきっかけは、元々調理師であり、外食業で料理を提供する側だったことだ。オーガニックの野菜に対して興味を抱き、調べていくとそこにはとてもニーズがあることに気付く。その一方で、オーガニックはほとんど流通していないことにも気付く。何故か。単純に「儲からない」からだ。そんな中、横島氏は、体にとてもよくニーズがあるのだから必ず事業として成り立つはずだと感じた。更に「地域」周辺で起こった出来ごととして、農地が飲食街へと変わっていった現実を目の当たりにしたこともあり、このビジネスを始めることを決意する。バブル時代は、使い捨てのモノがもてはやされたし、概ねモノでしか表現する他なかった(データやクラウドという考え方は存在しなかった)。もしかしたら農作物もそうだったのかもしれない。大量生産大量消費の波があり、畑はオーバーワーク状態。季節とは関係なく、いつでも入手できる野菜・・味さえ気にしなければ。そしてその末にあるのが、フードロス。野菜の価値(目先の金額が基準)を下げるのであれば、捨てたほうがいい・・・。これらは人間がつくり上げたシステムとひずみだ。横島氏は、こういった人間によるシステムではなく、自然の土の力と野菜の生きる力による栽培=野菜が育ちたい環境づくりや元の環境に限りなく近い状態を再現すること...

#5:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.1(TEXT2)

TEXT2:この「地域」で、フレッシュな野菜づくりを実現さて、現実的な話題に戻るが、この「地域」は間違いなく農業都市とは言えない。ただ、自然豊かな場所が多くあることは確かだ。そして、何よりも中京圏のハブとなり得るアクセスの良さが特長だ(アクセスに関しては、#4でも取り上げている)。こういった恵まれた環境を見抜き、オーガニック・・・いや、フレッシュな野菜をつくり、そしてその野菜は、仏料理や伊料理のプロであるシェフの舌をうならせ、納得させているファーマーが存在するので驚きだ。今回のお題目通り、この「地域」内でもファーム・トゥ・テーブルが実現していて、更に食を通じて教育の一環とする「食育」の普及活動を行い、地域貢献をしている方が存在するのだ。それが「土磨自然農園」代表横島龍磨氏で、その農園の名前の通り自然栽培による野菜をつくっている。農薬、肥料を一切使わず、除草剤ですら使用しないというこだわりようで、それはオーガニック(有機野菜)よりも更に厳しい基準である。まさに、オーナー横島氏のストイックな姿勢が見受けられる。その出来栄えが奏功をし、今では食のプロへの野菜提供が主のようだが、当初は個人向けの野菜を宅配などで展開していたという。小さな一歩からスタートした事業だったのだ。しかし半年が過ぎると徐々に、シェフ向けの西洋野菜も取り扱うことになり拡大をしていくことになる。(写真)横島龍磨氏との取材...

#5:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.1(TEXT1)

TEXT1:食や食材の安心・安全がテーマ。フレッシュでオーガニックな食材を農場から食卓へ・・・ここ数年で、アメリカ西海岸を中心に食の安心・安全への意識が高まっているようだ。特に都市部に居住するミレニアル世代を中心に、興味を持たれている食とは、食材オーガニック「農場から食卓へ―ファーム・トゥ・テーブル―」というフレッシュな方法への注目だという。この「テーブル」という部分には複数の意味がありそうだ。農場が経営するダイニング(レストラン)や地域にあるダイニング、はたまた地域にあるショップを通じて食卓へ・・・というとらえ方でもおかしくない。この「ファーム・トゥ・テーブル」という考え方は、日本でいう「地産地消」に当たる。そしてその特長は、中身が把握できることだ。つまり、その野菜はどこで誰が生産をし、「地域内」であれば配送距離が短いということにも気付く=輸送によるCO2も少しは防ぐことができる(エシカル消費とはこういうことだろう)。更にその先のダイニングやショップのシェフがこだわって創作している料理ということも理解することができる。予想以上の発見があるのだろうし、安心且つ安全である。通常、ダイニングではメニューに“この野菜は、この「地域」にある◆◆ファームによるもの”などと明記され、生産者の写真付きで紹介されたりする。このように、アメリカでは「地域内」あるいは近郊の農場から直接仕入れた新鮮で安...

#4:この「地域」の特色ある街づくり事例とは(TEXT5)

TEXT5:「地域」の魅力を線としてつなげ、「人」がどんどんとつながっていくそれぞれの事業市来広一郎氏のトークセッションは面白おかしく熱海の再生を語ってくれた。次世代のリーダーとしての活躍ぶりを感じさせたが、是非一読していただきたい書籍が、御仁が著者として執筆している「熱海の奇跡」だ。熱海再生への手順がわかりやすく記載してある。地元の人が「地域」の魅力を知るためのツアー「オンたま」。クリエイティビティの高い人たちに愛されたCafeRoca。サードプレイスというと、今では大半の方が知っている言葉だが、ひと昔前から意識している。そして「関係人口」に関わる二拠点居住者、バックパッカー、外国人を意識したゲストハウス。これら立ち上げた事業は、先ずは「地域」を線でつなぎ、流入によって「人」がどんどんとつながっていったことが大きな特徴だ。トレンドを読む力が相当お持ちなので、その知見から手掛ける事業はおそらく地元熱海にとっては突拍子もない展開に見えたかもしれない。過去にとらわれず、「地域」の特徴にトレンドと今後あるべき思想を吹き込みながら、街をアップサイクルしていく、いわば現代風の循環する「地域」づくりができたのではないかと感じた。光が当たれば、陰もできる。タイミングよく時代のニーズにのっかって成功したかのようにも見えるが、その裏では相当な苦労や危機もあったようだ。しかし、周りの人に恵まれて乗り越...

#4:この「地域」の特色ある街づくり事例とは(TEXT4)

TEXT4:イベントは、街の魅力を語れるか?流入が多いこの「勝川」では、いくつかのイベントを通じて商店街への興味喚起を行っている。その活動こそが、店舗開発の一環だという。単に参加するだけではなく、この立地や人に興味を持ってもらい、店舗誘致へとつなげるよう努力しているということだ。イベントが成功しているかどうか自己評価としてはどうか、と水野氏に尋ねると辛口で道半ばとのお話。イベントは盛況でも、まだまだ人との関わり合いに工夫が必要だということだろう。シンパシーを感じ、参加のみならずその「地域」へ様々な形で投資していただくことが主催者側の求める“一体感”なのかもしれない。直近では、「TANEYA」「ままま勝川」の周年イベント“hang out again(ハングアウトアゲイン)”が、先月の(2019年)7月に3日間行った。最初の日は「勝川」と「熱海」の再生成功事例のトークセッションが行われたが、これを筆者は拝聴した。最初、「熱海」と「勝川」では街の構造が大きく違うのでは、と思い、セッション自体成り立つのだろうかという疑問があった。「熱海」というと、成功した観光地で温泉が有名・・というところで記憶が止まっている方も少なくないかもしれない。筆者もどちらかというとそう感じていたが、実際のパネリスト市来広一郎氏のお話を聞いて、無用の長物を用へと変えたことがよく理解できた。熱海はもはや繁盛している...

#4:この「地域」の特色ある街づくり事例とは(TEXT3)

TEXT3:過去と未来をつないだことが起業家シェアオフィスTANEYAのフィーチャーすべき点。コワーキングという考え方。築80年以上の歴史がある加藤種苗店をリノベーションしたのが「TANEYA」だ。“逆算開発”を事業の特長としていて、支払える家賃から想定して費用を積み上げて事業化のメドをたてるということだが、そこに「地域発展・地域活性化」という強い気持ちと、循環する街づくりを意識していることが特色だと思う。文字で伝えるのは簡単だが、実際には大変困難なことだったろう。なぜならば、そこには“理想的な街づくり像”と“現実的な数字”とのせめぎ合いの中、いかに“妥協”せずに事業を進められるか、がポイントだからだ。「TANEYA」はもともと加藤種苗店が種子や苗を販売していたという過去から、これから期待できる若き起業家を「種」と見立て、一つの業種に絞らず“シェアオフィス”として復帰させた。トピックとしては、その中のとある店舗は、事業拡大をし「ままま勝川」へ移動したという。これはまさに種から苗へと成長させた実績であり、過去と未来をつないだことといえる。そして同じ価値観で共働(コワーキング)できるシェアオフィスならではの相乗効果や「地域発展」という観点での店舗マッチングがベースとなっている。更に、循環する街づくりを意識した例が「ままま勝川」で、周辺を事前リサーチしたうえ、この「地域」の子育て層をター...

#4:この「地域」の特色ある街づくり事例とは(TEXT2)

TEXT2:商人による本質的な街づくりが、街の基盤をつくる水野氏いわく、勝川が発展している理由は「交通利便性の高さ」だという。確かに、電車、車のアクセスに困らない「地域」といえる。電車では、名駅へ直結しているが、地下鉄や名鉄利用ができるハブとなる駅がいくつかあることがポイントだろう。車では国道19号や302号などの幹線道路から動線よく高速道路へつながっており、他府県への移動がとても便利だ。「勝川」はアクセスだけでも多くの魅力を持つエリアだ。そんな「勝川」は、2000年代前半に駅前再開発を実施以降の発展がめまぐるしい。駅からペデストリアンデッキによって商店街までの動線をつくり、その間には医療を中心としたクリニックモールを建設するなどコンパクトシティとして魅力を創出していった。これらの取組は、地元のことをよく知っている「地域愛」が強い商店街の方々(など)によるもので、具体的には銀行融資を受けるものの、主には商店街組合中心の有志で資金を出し合い、会社を設立し再開発を手掛けたことだ。更に次々と商店街内の空き地や空き家への投資をしていくという、商人による本質的な街づくりなのである。事業…それは、稼ぎながら持続させる、持続可能な計画を実現させるということを理念としてとらえている。それは街へのこだわりがあるからこそ補助金などを期待せずに、事業に制限がかからないようにするためである。但し、そこには...

#4:この「地域」の特色ある街づくり事例とは(TEXT1)

TEXT1:地方都市でも起こっている中心部人口集中化前途、東京一極集中とは別の要因と言えるが、この地方都市“中京圏”内でも都市部集中という現象は既におきている。名古屋駅(名駅)の著しい発展と様々な時代背景を理由に名古屋市内でも都市部への住宅供給が集中、その更に地方ではコンパクトシティ化だろう。名駅の進化について振り返ると、約20年前の駅上のリニュアル(名古屋マリオットアソシアホテル、オフィス棟他)を皮切りに、ミッドランドスクエアにおけるトヨタ自動車をはじめとしたオフィス集中化、最近では大名古屋ビルヂングリニュアルやJPタワー名古屋、JRゲートタワー・・・と建設ラッシュが続いた。オフィスの充実は、ショッピングや飲食、娯楽といったアミューズメント性も高め、周辺地方からの流入や人の動きにも影響を与えたと言える。そうなると住まいは、名駅へダイレクトアクセスでき、職住近接を優先するご家族も多いかと思う。この「地域」も名駅へのダイレクトアクセスを叶えられるが、その中でも「勝川」がもっとも近い。中京圏その他の地方と比較して何が優位なのか。そして「勝川」という街は、どんな工夫が施されているのか。春日井商工会議所副会頭であり、勝川エリア・アセット・マネジメント代表取締役である水野隆氏にお話しを聞いた。(写真下)勝川駅前の風景

#3:この「地域」に、デュアルライフはフィットするか?(TEXT5)

TEXT5:「地域」と人をつなぐハブになれるのか地域活性化のキーワードとして「よそ者」「若者」「ばか者」というワードがある。よくできたワードで、確かに内向きでは「地域」は活性 化されない。外部と比較できる、若くて体力がある、時には破天荒な行動、勢いに乗って行動することも必要なのだろう。 しかし、それだけでは「地域」は成り立たないし、活性化されない。常に、その「地域」のキーパーソンが仕切らないと進まない。 そして、もう一つ。それをつなぐ“ハブ”の役割が必要なのだ。その“ハブ”は「地域」やキーパーソンとその魅力を、関係人口となり得る “デュアラー”をつなげ、導くという役割。事例によっては、キーパーソンとハブの役割を「地域」に戻って行う人や、「よそ者」が担う場合もあり様々だ。この「地域」はどのパターンかは未知数だが、“人”をフォーカスする点は流入する可能性を感じた。笠松副編集長よりたくさんの事例をご紹介いただいた(その事例は、下記)。その中で、福井市の事例に感銘を受けた。 ある若者が中心となって地域の“人”をテーマにしたサイトを立ち上げた。そんな“人”との出会いを旅で体験しようというものだ。これこそが、“人 ”と“人”をつなぐハブの役割をしていて、関係人口をとても意識した動きだと思った。 最後に、SUUMOジャーナルでは、高蔵寺ニュータウンと中部大学との取り組みを取材している。...

#3:この「地域」に、デュアルライフはフィットするか?(TEXT4)

TEXT4:アイディアを活かすことができる地方へ都心で生活するということはステータス感があり、トレンドを意識しやすい恵まれた環境だろうが、自分一人に対して関わる人たちはどうしても限られる。仕組み(システム)じゃないと動かせない大きな仕事は、どこまでいってもOne Of Themということとなるため、承認欲求を満たさない場合があるのだろう。それに比べて地方は、人も限られているためジャッジも早く、多様な動きをしやすく、優秀な人材がつながりやすい(一人が何役もこなさなければいけないという場面もあるが・・・)。かと言って、地方にアイディアが常に生まれ続けるわけではない。そういったバランスをうまくつかみ、取り入れた成功事例は既にいくつか存在している。SNSなどで、都心で働く若者層とつながり、「地域」の未来を一緒に考えるといったワークショップに参画してもらう。そして「地域」への流入に対して敷居を低くしていく。シェア古民家での共存だったり、たった一日だけでも農家の繁忙期に手伝いをし収穫したものをお裾分けしてもらう(参加をしリターンされる、分け合う、ということの大切さ)、など少しずつ参画をしてもらうことで「地域」になじむかどうかを“デュアラー”にサジェスト(提案をし勧める)しているということだ。筆者が“デュアラー”の記事を拝見した時、都心とは真逆である田舎暮らしを望んでいるとばかり思っていた。しか...