#8:この「地域」の特色ある街づくり事例とはPart2(TEXT1)

TEXT1:“特色ある街づくり事例”、「地域」を広げて見てみると・・・#4でテーマとした特色ある街づくり事例。勝川商店街を題材にしたわけだが、商店街で成功している事例をこの「地域」から少し広げて見てみると、大須商店街や円頓寺商店街などが例として挙げられるだろう。共に成功しているのだが、その要因はその「地域」に住む人の心意気であることは間違いない。しかし、そこにはそれぞれの考え方が大きく違うのではないだろうか。特に、最近の円頓寺商店街の再生にはとても興味を持つ。筆者は最近、知人と食事をするために利用したが、とてもよい雰囲気と感じた。それはおそらく円頓寺が刻み培ってきた歴史を残しながら、その場を乱さないように新しく多様な店も共存する、という融合が面白く感じさせたのだろう。そこには何らかテーマがあり、そのテーマに従って完成させてきたような気がしてならなかったのだ。その円頓寺商店街を改めて発展させたのが、市原建築設計事務所(DERO.INC)代表であり建築家市原正人氏だ。円頓寺の再生について市原正人氏に取材をした

#8:この「地域」の特色ある街づくり事例とはPart2(TEXT2)

TEXT2:仕事を通じて知った街。「よそもの」が円頓寺に通い続け、感じたこととは?市原氏にとって円頓寺商店街との出会いは、その界隈の古民家改修の仕事から始まったようだ。決してその地域に住んでいたわけではない。その仕事の合間に休憩時間があるのだが、その都度お茶を出してくれたという。しかも、それが施主ではなく近所のおばあちゃんだった。その近所のいわば世話好きなおばあちゃんは三味線や長唄を教えている師匠で、古来から伝わる日本文化に対して興味があった市原氏は改修工事完了後は三味線を習うことにし、引き続き円頓寺に通うことになる。その稽古を通じて商店街は身近な存在となり、親しみを感じていったのだ。今日のような関わりに発展していったのは、更に後で師匠がお亡くなりになった後。稽古をすることが自然と無くなったため、円頓寺に来る目的も無くなったわけだが、今度は一人で商店街に立ち寄りはじめる。三味線の稽古をしていた時は師匠や仲間たちと共に商店街を歩いていたが、一人で歩くとなると違った目線で商店街を見ることになる。おそらくじっくり見ることになったのだろう。そうなってからはじめて感じたことを当時をふりかえりながら市原氏はいう。建物は残っているがシャッターが閉まっている商店が多かったため、このまま街全体が消滅するのではないか、と。そもそも歩いている人が少ない。人が歩いてるかと思うと、その人は店に入る。そうする...

#8:この「地域」の特色ある街づくり事例とはPart2(TEXT3)

TEXT3:周辺「地域」関係なく能動的に集まってくる商店街を目指す市原氏が子どもの頃に見ていた商店街の雰囲気と違うことにすぐ気づいたという。日常の生活を提供する商店街ではなく、わざわざここに(円頓寺商店街)目がけて来るだけの価値ある店が多く残っているということだ。考えてみると、これまでローカルズラウンジでは、リージョナルランドマークは過去と現在では異なっていることを取り上げてきた。全てが変わったとは言い切れないが、商店街の役割は大きく変わったのだろう。「地域」のセキュリティ、コミュニティを育む場所としての商店街の貢献は大きかったはずだ。商店街が中心となって、つまり「地域」上げて、そこに住む近所の子どもたちを育ててきたし、毎日の買い物を通じて人と人をつなげてきたはずだ。このことは、我々のこの「地域」だけではなく、どこも同じだろう。この時代は、その「地域」が持っていた歴史と個性とは何かを考え、それを活かし新たに成長させていくことが大切なのだと筆者は感じている。

#8:この「地域」の特色ある街づくり事例とはPart2(TEXT4)

TEXT4:円頓寺の魅力を掘り下げてみると・・・その当時(約10年前※)わざわざここに目がけて来る店や残っている店で印象的だった店とは何か。飲食店が多かったようだが、印象的だったのは、例えば文房具店だという。円頓寺のメインイベントは年一回の七夕まつりで、この「地域」がもっとも大切にしている行事の一つだ。そのために、ハリボテをつくる材料を切らすことなく仕入れているという。また、相撲部屋が商店街にあり※、土俵もあった。そこにはそれを支援する「地域」の人、つながり、それらはマイノリティだが個性といえる。そんな個性、培ってきた文化をこれまでの商店街のようにいつも商店街を歩いていて店に入っていくのではなく、能動的に商店街を目指してくることにフォーカスをあて、再開発することになる。円頓寺の魅力を市原氏に語ってもらったが、商店街が一丸となって行う七夕祭りの一致団結力、四間道のように江戸からある古い街並みなど、そして何よりも「人」、ということだった。ここ(円頓寺)にいる「人」とは、ひとつは名物店主のようだが、温かみがあるという。わざわざ目がけて来る理由とは、風情ある残された街並みの中で、頑張っている面白い店主「人」に会いに来るというわけだ。それが来店する人にとってのバイタリティにつながるからなのかもしれない※2019年より10年前※現在は残っていない(写真)上から:円頓寺商店街入口/アーケード屋根...

#8:この「地域」の特色ある街づくり事例とはPart2(TEXT5)

TEXT5:「不易流行」という考えこそが、過去を活かし新たな未来へとつなげるそんな魅力を活かして今後のためにつくられたテーマがこれだ。「地理」…江戸の街並みだけではなく、時を重ねて出来上がったものを“原風景”として捉える。「商店」…新しい店が短期で入れ替わり出入りしないような工夫、長く続けてもらえるような業態、名駅には無い業態。以前は花街で娯楽がある街だったことからつむぐ。「人」…名物店主が存在するように、誘致する側もキャラが立っている人にフォーカスする。「祭り」…大切にしてきた七夕まつり、それだけで終わらないように新しい祭りも行い盛り上げる。その一つはパリ祭だ。・・・このようにこれまでの個性を読み解き、そこから新たにテーマをつくり、それに沿って実行したことが成功要因だ。これはいわば「不易流行」という考え方だろう。更に、面白い発想をしているので紹介しておく。名駅に近い円頓寺本町商店街からすると、大きな通り(江川線)を超えて円頓寺商店街へたどり着くことになる。この大きな通りは、人の行動エリアを制限させるわけだが、それを逆手にとって、街に強いコントラストを付けていくことで個性を立たせたのだ。それは使い分けができなければその良さが理解できず、できるのは大人であり、大人が楽しめる街に絞ったことが特徴だ。ここが大須商店街との違いだ。新陳代謝がある大須商店街は、老若男女国籍問わず人であふれかえ...

#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT1)

TEXT1:家族を育みながらも働くことで、社会との関わり合いを保つのがスタンダードな考え方へ既にお馴染みの言葉となった「働き方改革」。日本の人口である“一億”総活躍社会を実現するための改革は、ポジティブなことだけ記載するのであれば、これまで以上に女性が活躍する場をつくるきっかけづくり、といえる。確かに、データを見ると第一子出生後も何らかの形で就業継続している数は増加傾向で、その数、全体の半数を超えている。就業継続でも、出産をきっかけにパートへ切り替える方もいれば、産休を利用しそのまま復職するという方もいたり、それぞれだ。この「地域」でも女性の従業者を意識した企業は多くあるのだろうが、その中で、事業所内保育施設を持つユニーク(独自)な発想の会社がある。それが株式会社ブランシェだ。また、それ以外でも多様な業種へ進出し、それぞれに特色を持たせている。例えば、カフェやイタリアンバルなどの飲食やネイル、ビューティスクール・・・。形だけではなく、ニーズとバックヤードをしっかりと見据えたうえで展開していることがポイントのようだ。この独特な企業文化について、代表取締役福本勝則氏へ取材をした

#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT2)

TEXT2:フューチャーライフデザイン。ヘアデザインをベースにライフスタイルまで広げていくHPを確認すると“デザインセンスのあるヘアサロンのHP”と言える。背景色の白を基調とすることで透明感を出し、それぞれの要素は主張しすぎないようにレイアウトしてある。ただ、よく見ると独特だ。冒頭にある“Staying Sensitive To The Needs Of The Times,We Offer The Best Technologies, The Latest Trends,And Sophisticated Services.(時代のニーズに対して敏感に察知し、最新のテクノロジー、最新のトレンド、洗練されたサービスを提供します)”とある。一見普通のヘアサロンでも言えてしまうコピーだが、ここに実は福本氏の理念が刷り込まれている。更にスクロールすると、前途の通り、アットランダムに同社グループの最新ニュースがある。そこで、多種多様なコンテンツが確認できる。その多種多様なコンテンツの共通点はいうならば、全てセンスが良いということだろう。建物・外観としての形状、存在感、色使い、内装、内観・・・。実はこれらは、ヘアサロンにおいてヘアデザインを手掛けるうえでつくられていくストーリーから派生したコンテンツたちであり、リアルなマーケティングから実現した事業やカタチなのだ。(写真)代表取締役福本勝則氏

#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT3)

TEXT3:「快適空間」というコンセプトは、“マーケティング”力を強くすることになっていく福本氏ご自身がスタイリッシュな方だからだろう、流行っている店は“カッコイイ”し、ヘアサロンを手掛けるきっかけは“カッコイイ”からだという。一時期、カリスマ的なヘアアーティストが誕生し流行したが、そういったアイコンの存在自体その要素の一つだろう。ブランシェのベースをつくったコンセプトは、それよりも広く、その空間自体が快適である「快適空間」をつくることだった。流行っている店とは、人が継続的に利用する店と言い切れる。ビューティ業界における流行っている店とは、カット技術はもちろん、外観・外見デザインもそうなのだが、同社はもっと広く「快適」=トータルコーディネートをすることをベースコンセプトにしたのだ。「快適」。一見簡単に発想できそうなワードだが、CS(顧客満足)いや、福本氏のように関わる人すべての満足度を意識していなければ、このような発想は見いだせないと感じた。一日は誰もが24時間、睡眠時間などで8時間を除くと16時間だ。そのうちの1割以上を占める2時間を、ヘアサロンで過ごす、しかも付きっ切りで、だ。カスタマーにとっては、かけがえのない時間であり、無駄にできない。そのためカット技術のみならず、付加価値へとつなげようと発想したはずだ。ヘアデザインをするだけではなく、ドリンクをサービスする、マッサージをす...

#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT4)

TEXT4:横の連携をカスタマーのみならずスタッフも行うことでつくられる“エンゲージメント”カスタマーとの対話や反応によるリアルマーケティング。その強みを持てるのは、ヘアビューティ業界、いや同社の特色なのかもしれない。女性のカスタマーも多いわけだが、話題の中でグルメはかかせないようだ。そこから実現したのが、飲食で、焼肉店、カフェやイタリアンバルだ。面白いのは、これまでのノウハウが活かされている。外観、外見はもちろん、そもそもカフェやイタリアンバルを選定すること自体もそうだし、焼肉店では、他店よりもゆったりとすわれる席に贅沢な時間を過ごせる設えなど、発想が面白い。飲食業が求める回転率という考え方ではなく、ファンになってもらい常連化する。ヘアサロンからバルを利用、バルからヘアサロンを利用という流れと、そこにスタイリストも配属することでより親しみをもっていただくような仕掛けづくりをしている。そういった関わり合いから“エンゲージメント”をつくり、つなげ、“ライフデザイン”をしていく。そういった“エンゲージメント”を得意とするブランシェは、従業員に対しても寛大だ。ヘアデザインをするスタイリストは常にトレンドに敏感でなければいけないため、技術を常に習得しなければいけない職業だ。そのためには、技術を洗練させるための時間が必要となる。つまり、ヘアビューティ業界から離れられないということになる。全て...

#7:この「地域」で多様に働くことができる場所(TEXT5)

TEXT5:「マルチコンセプチュアルアーティスト」は、地産地消をも意識をしコンテンツ開発を行っている同社は、地産地消を意識した商品づくりも実績がある。コスメを中心に手掛けている。例えば、サボテン。シャンプーやハンドクリームなどで展開しているが、経済産業省・中部経済産業局のお墨付きで「地域産業資源計画計画」認定商品にもなっている。これらの商品はサロンのみならず、WEBでも購入できるわけだが、こういった商品開発も活発に行われている。最近では、シザー(ハサミ)だが、そこには「ドライヴカット(DRYVE CUT)」という技術と、カスタマーにとっては家でも手入れしやすくなるという衝撃的のカット技術のようだ。当然、ヘアデザイナーとシザーの技術によるものだが、カスタマーにわかりやすく伝える、ということも重要視したようで、それがリピートを生むのだが、差別化としてもつなげていくもののようだ。表面的にだけ見ると、同社の展開はとても不思議に思うことが多い。同社はTVでも取り上げられた。「フライパン美容師」というキャッチコピーだったが、取り上げ方がイタリアンバル「トンガリアーノ」とヘアサロンとの関係性だったからだ。同社の魅力はそこにとどまっていない。その魅力や奥深さは「マーケティング」力によるものであり、そのバイタリティあるアーティストたちを、筆者はこのローカルズラウンジを通じて「マルチコンセプチュアルア...

#6:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.2(TEXT1)

TEXT1:「地域」を代表するフランス料理店“シェフ”によるベジタブルスイーツの由来ベジタブルスイーツ―“野菜をつかったスイーツ”を取り扱う店がある。「エルヴェラヴィ」・・・“命を育む”という意味のフランス語である。何故、フランス語を店名に掲げたのか。実は、オーナーである吉川成輝氏がフランス料理のシェフだからだ。吉川氏は、フランス本国の三ツ星レストランで修行をし、名古屋東急ホテル「ロワールフレンチ」のスーシェフを務めた。その後、「シェ本山」のシェフとして招かれている。ご存知の方も多いと思うが、「シェ本山」はこの「地域」では老舗フランス料理店だ。つまり「地域」を代表するフランス料理店のシェフだった吉川氏によるこだわりのベジタブルスイーツということになる。そして、その野菜は主に愛知県産であり、前回クローズアップしたこの「地域」の自然野菜を生産する“土磨自然農園”の野菜を使用しているという。

#6:この「地域」のファーム・トゥ・テーブルPt.2(TEXT2)

TEXT2:フランス料理のベーシックな考え方から生まれた、新たな“地元の素材を生かしたアプローチ”へ吉川氏は瑞浪市出身で、実家は八百屋だったという。身近に新鮮な野菜や果物に触れることができる恵まれた環境であったことがご自身の基盤をつくったのだろう。世界三大料理と言われるフランス料理には、「キュイジーヌテロワーヌ」という言葉がある。訳すと「大地の料理」で、言わば“地産地消”のことだ。シェフを務めた「シェ本山」でも当然ながら地元の野菜を使用しているのだが、吉川氏がシェフとして務めている際は、更に重きをおいている。そのことを公式HPでも紹介されており、“テロワール(風土)を大事にし、地元の素材・特産をふんだんに用いて、春日井の方はもちろん、遠方からのお客様にも自然の恵みを味わっていただけるフレンチ料理を披露している”、と綴っている。その後、「エルヴェラヴィ」を立ち上げるわけだが、地元の素材を生かしたアプローチを新たに展開することが大きなコンセプトなのだ。そしてそのベースとなる主の野菜が“土磨自然農園”でつくられた西洋野菜だ。元々は吉川氏がフランスから帰国して間もないころに、出会ったのがきっかけだった。この西洋野菜に出会うまでに相当数の野菜を仕入れては試食したが、納得できなかったという。結局WEBをきっかけに、この農園を知り、直接出向くことになる。その時に試食したサトウキビのように甘くて美...