オモテとウラ

 わが研究室の先生は、主に名古屋駅西の研究をされていますが、その研究発表を期間限定の展示会と一日限りのトークセッションといったイベント仕立てにし開催されましたので参加しました。
 名古屋駅西は、どうやら「名古屋駅裏」といわれていたようですが、”名古屋生まれ、春日井育ち、拠点は主に名古屋”という生まれてこの方ナゴヤローカルど真ん中の私にとっても正直あまり馴染みの無い俗称です。
 第二次世界大戦終戦後この周辺は、ドヤ街であり闇市の場所だったようですが、意識の高い住民の努力によって「名古屋駅西」として認知させ、そのまちづくりには相当な力を入れたようです。ちなみに私の印象は、「河合塾」のある空白地帯であり、「生活倉庫(アピタ。現ビックカメラの位置)」があったといわれて「あー、ありましたね」と思い出す程度。それだけ狭域、中域からはなかなか用事もなく、あまり立ち寄らない場所といえます。そもそも、名駅よりも栄周辺へ出かける方がポピュラーだったですしね、昼も夜も。しかし2000年以降の新自由主義政策の一つである「都市再生緊急整備地域」として名古屋駅周辺が指定されたことで、規制緩和が起こりさらなる都市化が進み、ショッピング施設にオフィス増床、ささしまライブの開発に職住一体となった施設の再開発など、名古屋駅周辺は”東・南・北”それぞれエリアを広げながら開発は進み、いよいよ”西”=名古屋駅西エリアでは、数年後(2027年といわれていた)に迫るリニア開通によって注目を浴び始めているといっても良いのかもしれません。
 このトークセッションでは、名古屋駅西に居住してらっしゃるお二人のゲストスピーカーによる名古屋駅西のなかなか普段では聞けないコアなお話を、ご当地グルメとして開発されたお菓子(たつの屋さんの「名物あんこだね」)とミックスジュースをいただきながら聞くという面白いイベントでした。この会には以前取材させていただいた建築家の先生も参加しており、久々にご挨拶もできとても有意義でした。
 ゲストスピーカーは、町内会を仕切ってらっしゃる地元の重鎮で、県下最難関私立中・高〜最難関私立大学を経て、さらに渡米もされた経歴のある方と、地域情報誌での活動が企業に広く認められており、今では多くの商品開発やまちづくりに関わるデザインなど多岐に渡って活躍されているクリエイターでしたが、そのお二方から昔話を面白おかしくお話いただきながらも印象的だったのは、地元に長く残った人たちは結果意識が高く、このエリアの発展に力を入れてきたため、決して駅裏(駅の裏側に居る)という認識は無い、といった主張をしっかりされていたことです。お二人とも当然成功者でありますし、見知らぬ参加者に居住しているエリアの評判をわざわざ落とすことはしないでしょう。もし私がその立場ならば同じく「魅力」としていかに発信できるか、ということを心がけると思います。

 そのため、先生が発表している過去のフォトや当時の新聞記事、市制などの資料とは真逆であるため、そのアシンメトリー感が心の中で消化できず、とてもミステリアスなエリアだという印象だけが残ったのです。そんな印象をいだきながら、そのゲストスピーカーはポロッとさりげなくおっしゃいます。


”別の方(不参加)からは「昔のことは、もう思い出したくない」と言われているのです”


この告白は、私にとって実に大きなファクターとなり、過去のフォトや当時の新聞記事、資料と親和性が高くなってくるわけです。
 しかし、全体を振り返り自分なりに頭でまとめてみると・・・んー、なんだかまとまらないミステリアスなエリアなんですよね。

 当然それらは全て真実であるわけですので、より多くの情報を収集し、変数として見ながらも、どのように組み立てるか、ゴール設計はどうなのかなど、編集し続けることがポイントなのかもしれません。
 とにかく、まちづくり・地域づくりは生きものだと体感できるイベントでした。それぞれの「階層・階級」が息づいている中で「融合」し、時には「分断」も起こす。そこを見ていくのが私自身の研究であります。
 別の日、この周辺のまちづくりに関わる方を取材しました。このエリアについてとても考えてらっしゃる、道徳心を常に意識している、頼もしく興味深い取材をさせていただきました。まちづくりにこのような方は欠かせません。

♧イベント参加特典として、ご当地グルメをいただきました(参加費1,000円)

右にある住宅地図は昭和時代の貴重な地図。過去の記憶にせまるツールとして活躍

左は、ゲストスピーカーの方のご家族が当時撮影されていたもの。戦後にこのような写真が撮影できること自体、裕福だったのかもしれません

名古屋駅西街並み。東とは異なり高層タワービルは存在しないが、これはこれで味わい深い。名古屋駅周辺地区都市再生安全確保計画によると、西エリアは古い建物も多く、大規模災害時は、多くの倒壊も考えられるようだ。しかし、まちづくりに関わる方への取材では、耐震への対策や水災害時の備えなど最大限の努力や工夫をしており、街への意識は高いと感じた

ひととまちコーラボ

The "Hito To Ma-chi co-Lab" edites it about locals, local attractive point, regional activation of Japan and posts it. “地域資源”が”地域価値”となるような モノコトを探索します。